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Emotetの活動が2022年3月に急増、日本のユーザーも標的に

Rory

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2022.05.09

 

「Analyst’s Choice」では、弊社インテリジェンスアナリストが注目の記事をピックアップし、そこで取り上げられた脆弱性やマルウェアなどの脅威情報に対する洞察・ソリューションなどをコメントしています。

 

アナリスト:

Rory Morrissey

(Intelligence Architect @Machina Record)

 

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Emotetの活動は2022年3月に急激に増加

 

Emotetの活動は2022年3月に急激に増加

日本のユーザーも頻繁に狙われる

カスペルスキーの研究者らは、2022年3月にEmotetの活動の大幅な増加を観測し、2月と比較して攻撃数が3倍に増えたことを確認しました。また、検出数の急増も観測されました。2022年第1四半期にEmotetへの感染による影響を最も受けたのは、イタリア、ロシア、日本、そしてメキシコを拠点とする被害者でした。

Emotetは現在、16の追加モジュールをダウンロードできるようになっており、そのうち10のモジュールがカスペルスキーによって入手・分析されています。展開されたモジュールによって、複数のメールクライアントやブラウザのパスワードとアカウント情報を明らかにする、OutlookやThunderbirdからデータを抜き取るスパムを送るなど、さまざまな悪意ある行為が実行できるようになります。

 

情報源:

https://securelist.com/emotet-modules-and-recent-attacks/106290/?_hsmi=210029761&_hsenc=p2ANqtz-_MxnR3VIlrFOANqQDlgEwpVTy4nT43yIi1vbpOCQoZh-JL3wxuhYv_EhfI35GeynrkAPm-gcNz0Vxj6tAjryTwzb_d5g

 

アナリストのコメント

影響範囲

Emotetは、世界各地の企業やユーザーに見境なく感染します。カスペルスキーの研究者らは、2022年第1四半期に以下の国々のユーザーが特に頻繁にEmotetの標的となっていたことを明らかにしました。

イタリア(10.04%)、ロシア(9.87%)、日本(8.55%)、メキシコ(8.36%)、ブラジル(6.88%)、インドネシア(4.92%)、インド(3.21%)、ベトナム(2.70%)、中国(2.62%)、ドイツ(2.19%)、マレーシア(2.13%)。

 

見解

Emotetはポリモーフィック型マルウェアです。つまりこのマルウェアは、感染する度に自身のコードをわずかに変更し、過去のシグネチャに頼って有害な可能性のあるファイルを発見しようとするスキャナーやアンチウイルスプログラムを回避することができるということです。

ポリモーフィック型マルウェア自体は新しい概念ではありませんが、人工知能(AI)などの技術領域が進歩することで、ポリモーフィックな性能はより強固なものになり、より多くの脅威アクターがますます簡単に導入できるものになります。

関連記事:EDRとは?EPPとの違いなど、導入前に知っておきたい基礎知識

緩和戦略

「情報源」の記事の末尾から、C2関連のIPアドレスの膨大なリストを入手できます。しかし、すでに述べた通り、Emotetはポリモーフィック型マルウェアであるため、IoCとして使えるハッシュ値がありません。

その他の緩和措置には以下のものがあります。

 

✔️有害なメールの特定と隔離に役立つスパム対策・フィッシングメール対策ツールを使う。

✔️従来のシグネチャベースの技術に加え、機械学習による挙動ベースの検出手法を活用する。

✔️異なる脅威が共通して持つ特定のコンポーネントがないかをスキャンするヒューリスティックな解析メカニズムを導入する。

✔️ファイルの挙動を仮想環境内でより深く把握するエミュレーション・仮想化ツールを使用する。

✔️慎重な扱いが必要で極めて重要なシステムに対する従業員のアクセスコントロールを厳しくする。

 

Writer

アナリストプロフィール

Rory Morrissey / 株式会社マキナレコード 脅威インテリジェンス・アナリスト

兵庫県立大学とカーネギーメロン大学で修士号(応用情報科学、情報技術―情報セキュリティ)を取得の後、ITコンサルタントを経て、2019年から現職。セキュリティアナリストとして、大手企業・公的機関向けにサイバー脅威、物理リスクなどに関する実用的レポートを提供。

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