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DarkGPT – ChatGPT-4を活用した、流出データベース検出のためのOSINTツール

Rory

Rory

2024.04.15

「Analyst’s Choice」では、弊社インテリジェンスアナリストが先月報じられたニュースの中から注目の記事をピックアップし、そこで取り上げられた脆弱性やマルウェアなどの脅威情報に対する洞察・ソリューションをコメントしています。

今月の1つ目のトピックは「ChatGPT-4を活用したOSINTツール『DarkGPT』」です。これについて、影響範囲、アナリストの見解、緩和のための戦略を紹介していきます。

 

今月の「Analyst’s Choice」、その他の記事はこちら:

DarkGPT – ChatGPT-4を活用した、流出データベース検出のためのOSINTツール

  • DarkGPTは、GPT-4-200Kのパワーを活用して流出データベースに対するクエリ実行を行うオープンソースインテリジェンス(OSINT)ツールです。このツールは、あるスペイン人ペンテスターによって最近GitHub上でリリースされました。

 

  • 使用するにはPythonが必要で(DarkGPTは3.8以降のバージョンのPythonでテスト済み)、GitHubからDarkGPTリポジトリのクローンを作成することでインストール可能です。また、DeHashedとOpenAIの個人的なAPIキーおよびユーザー名を使ってコンフィグレーションを行う必要があります。

 

  • DarkGPTはコマンドラインから呼び出すことができ、ここにクエリを入力して流出データベースから返される結果を受け取ることができます。強力な機能と、操作性に優れたインターフェースの点で突出しているツールです。

 

情報源:https://gbhackers.com/darkgpt/

アナリストのコメント

影響範囲

DarkGPTは多種多様な用途で使われ得るツールであるため、今回一般向けにリリースされたことによって恩恵を被るであろうあらゆる当事者に気を配ることが重要です。

 

  • 例えば、サイバーセキュリティの専門家や研究者は、脆弱性の特定やリスクの評価、またセキュリティ対策の強化に役立てる目的でDarkGPTを使用できます。こうした人々にとってこのツールは、どんなタイプの情報が流出データに紛れて露出してしまっている恐れがあるのかを理解する上で役立ちます。

 

  • 一方で、サイバー犯罪者たちがDarkGPTを悪用し、流出データベース内の機微な情報へ不正にアクセスすることも考えられます。そうなれば、身元の乗っ取りや金銭絡みの詐欺、およびその他の悪意ある活動の実施にも繋がる恐れがあります。また、ハッカーがこのツールを用いて脆弱性を探し出し、個人的な利益を得たり、あるいは他者を傷つけたりする目的でその脆弱性を悪用することもあり得ます。

緩和戦略

DarkGPTや類似ツールの不正利用から身を守るために、サイバーセキュリティチームは以下のような対策を講じることが可能です。

 

  1. データの保護:暗号化などの強力なデータ保護策を導入し、権限を持たない個人による機微情報へのアクセスを難しくしましょう。
  2. 定期的な監査:セキュリティ監査を定期的に実施し、悪用される恐れのある脆弱性を特定・修正できるようにしましょう。
  3. ユーザー教育:強力かつ一意のパスワードの重要性や、フィッシング攻撃の危険性についてユーザーに教育しましょう。脆弱なパスワードやフィッシング攻撃は、データ侵害の糸口となることがよくあります。
  4. インシデント対応計画:侵害が実際に生じた場合に迅速な対応を取れるよう、インシデント対応計画を整備しておきましょう。これにより、損害を減らすことができます。
  5. 二要素認証(2FA):可能であれば常に、2FAの利用を推奨しましょう。これによりセキュリティの層を追加で分厚くすることができ、攻撃者によるアカウントへのアクセスをさらに困難にすることができます。
  6. 流出データのモニタリング:新しくデータ流出が発生した際、その中に自組織のデータが含まれていたらアラートを発出してくれるようなサービスを利用しましょう。

        見解

        OSINTツールであるDarkGPTが一般利用可能となったことで、以下のような影響が生じます。

         

        1. 意識や知識の向上:サイバーセキュリティの専門家や研究者、そして一般大衆は、流出データに関連するリスクを理解する上でこのツールを役立てることが可能です。ひいては、データマネジメントやデータセキュリティにおける慣行がより良いものになることが期待できます。
        2. セキュリティ対策の強化:DarkGPTのようなツールの性能を理解することで、組織は自らの防御を強めることができ、悪意あるアクターによる脆弱性の悪用を難しくすることができます。
        3. 悪用の可能性:マイナス面として、こうした強力なツールはサイバー犯罪者によって不法な活動(身元乗っ取りや金銭絡みの詐欺など)に悪用される恐れがあるという点が挙げられます。このことから、プライバシーやセキュリティに関する重大な懸念が生じています。
        4. 法的・倫理的な懸念:流出したデータへのアクセスや分析のためにこうしたツールを使うと、当該データが機微なものであったりプライベートなものであったりする場合は特に、法律や倫理に関連する問題が生じかねません。
        5. 規制の必要性:このようなツールが利用可能となったことで、悪用を防ぎ、個人や組織のデータを守るための明確な利用規制/ガイドラインの必要性が浮き彫りになっています。

                 

                DarkGPTのようなツールは調査研究に重宝し、セキュリティの改善にも役立つ可能性がある一方で、使用に際しては責任を持つことと倫理に則ることが絶対条件となり、誤用や悪用は深刻な結果を招く恐れがあります。プライバシーを常に尊重し、責任ある態度でこうしたツールを使うようにしましょう。

                Writer

                Rory株式会社マキナレコード 脅威インテリジェンス・アナリスト

                著者

                兵庫県立大学とカーネギーメロン大学で修士号(応用情報科学、情報技術―情報セキュリティ)を取得の後、ITコンサルタントを経て、2019年から現職。セキュリティアナリストとして、大手企業・公的機関向けにサイバー脅威、物理リスクなどに関する実用的レポートを提供。

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