ロシア政府がカホウカダム決壊に関する「アグレッシブ」なプロパガンダキャンペーンを実施
米国のシンクタンクGerman Marshall Fund(GMF)によれば、ロシアの政府関係者や外交官らの統率のもと、6月6日に発生したカホウカダム決壊の責任はウクライナにあると人々に信じ込ませるための、組織的かつ大規模な偽情報キャンペーンが実施されているという。
ロシアのアカウントは「カホウカ」や「ダム」関連のツイートを1週間に1,300回以上投稿
GMFは、カホウカダムが破壊されてから1週間以内に投稿されたツイートを検証。すると、ロシアの外交関連・メディア関連アカウントによる「カホウカ」や「ダム」に言及するツイートは1,300回以上投稿されていたという。これらのツイートは合計で約20万回リツイートされ、48万件以上の「いいね」を獲得している。
ロシア政府関連のアカウントはこれまでにも、ウクライナ戦争に関連する大きなインシデントが発生した際にプロパガンダ的なツイートを投稿してきたとされる。しかし今回観測されたカホウカダム関連のツイートの数は、例えばブチャでの虐殺に関するツイート数と比べると9%、そしてノルドストリームでの爆発に関するツイート数と比べると30%も多かったという。
ツイート数の割に効果はいまひとつ?
カホウカダムに関するプロパガンダキャンペーンは、ウクライナ戦争をめぐって行われたロシアのキャンペーンの中でも特に投稿数の多さが際立っている。しかしこの力の入れようにもかかわらず、ロシア政府は想定したほどの成果を上げられていないようだ。現に、先ほど見た通りブチャ関連の投稿はツイート数の面でダム関連のものに劣っていたが、リツイート数は前者の方が37%も多かった。また同様に、ノルドストリーム関連の投稿もダム関連のものより5%多くリツイートされていた。さらに「いいね」の数にも顕著な差があったとされる。
このようにロシア政府が大衆感情の操作に失敗している理由としては、ロシアにとって不利な証拠が多数存在しており、「ダム決壊はウクライナのせい」という主張に説得力がないことなどが挙げられている。
(情報源:The Record “Kremlin launches ‘aggressive’ propaganda campaign to blame Ukraine for Kakhovka Dam collapse, researchers say”、GMF ”Russia Floods Twitter with Propaganda about the Kakhovka Dam’s Collapse”)
6月22日:その他のロシア・ウクライナ関連ニュース
中国、ロシアの銀行に制限を課す
Deutsche Welle – Jun 21 2023 19:50
ロシア国営放送のRBCやロシアのメディアであるFrankMediaによると、中国銀行が、同行のコルレス口座を通じた人民元、米ドル、香港ドル、ユーロでのロシアの顧客による取引を停止し始めたとのこと。この動きには、アンソニー・ブリンケン米国務長官による最近の訪中や、中国の戦略的・経済的思考におけるロシアの役割の減少が影響している可能性があるという。中国の銀行はロシア政府の債権者にはなっていない。また中国は、ロシア産エネルギーの輸入への依存を防ぐ策を講じているほか、ロシアへの自国の先端技術の流入を制限している。このようなことから、両国間の「無制限」のパートナーシップというのは、依然として美辞麗句に過ぎないとする見方がある。