ネオナチらがTelegramに見切り、暗号化チャットアプリSimpleXへ移行
Telegram創業者が逮捕され、白人至上主義チャンネル「Terrorgram Collective」のリーダーらが起訴されて以降、数十のネオナチ過激派グループがTelegramのプライバシーポリシーに危機感を覚え、身元の特定や逮捕を恐れてメッセージングアプリ「SimpleX Chat」へ移行しているという。シンクタンクInstitute for Strategic Dialogue(ISD)が新たなレポートで報告した。
Telegramは、その匿名性の高さから長らくサイバー犯罪者などに好んで使われてきたアプリケーション。しかし今年8月に創業者のドゥーロフ氏が逮捕された後、有効な令状があれば法執行機関にユーザーのIPアドレスと電話番号を共有するとの方針を示したことから、サイバー犯罪者らの多くが代替となるプラットフォームへの移行を検討し始めたと報じられていた。
新たなコミュニケーションの場を模索し始めたのは、サイバー犯罪者のみならずネオナチなどの過激主義グループに関しても同様であるとみられる。こうしたグループは、長年にわたりTelegramをネットワークの構築、プロパガンダの共有、攻撃の画策といった活動の場として利用してきた。しかし、Terrorgram Collectiveのリーダーとされる2名の被告が先月逮捕・起訴されたことが契機となり、Telegramから離脱するグループが数々見受けられるようになっている。
そんな中、数十のネオナチグループがその移行先として選んだとされるのがSimpleX Chat。SimpleXはユーザーの匿名性とプライバシーを最重視したアプリで、創業者Poberezkin氏によれば、「設計上100%プライベート」であり、同氏自身もユーザーのIPアドレスに関する情報にアクセスできないほどだという。また登録に電話番号やEメールが不要であるなど、Telegramの代わりを探すユーザーにとって魅力的な特徴を備える。
SimpleX上には、すでにネオナチ加速主義者たちの構築した広範なネットワークが存在しており、約30のチャンネルとグループチャットがこのネットワークを構成しているという。特にその一部を成すTerrorgram Collectiveは、信奉者に対して政府関係者の襲撃や変電所への攻撃、有色人種の殺害などを呼びかける過激なネオナチ・プロパガンダネットワークで、SimpleXへの移行後、すでに1,000人のメンバーを獲得しているとされる。こうした加速主義者らは、独自の白人キリスト教的価値観に基づく文明の再建を目指し、「人種戦争」を勃発させて西側社会の没落を加速させることを目指している。
SimpleXのPoberezkin氏は、ネオナチグループが自身のプラットフォームを利用し始めていることを「認識していなかった」とコメント。ただ、同アプリのグループ設計が50人以上のユーザーによる利用を想定したものではなく、大人数によるグループの利用はユーザビリティやパフォーマンスを制限するものであることなどから、Poberezkin氏は、こうしたネオナチグループが次第にSimpleXに見切りをつけるだろうと考えているとのこと。
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