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破損したWord添付ファイル用いて検出を回避する新たなフィッシングキャンペーン

佐々山 Tacos

佐々山 Tacos

2024.12.02

破損したWord添付ファイル用いて検出を回避する新たなフィッシングキャンペーン

BleepingComputer – December 1, 2024 

メールセキュリティソフトウェアによる検出を回避するための新たなフィッシング戦術について、マルウェアハンティング企業Any.Runが報告。これは、添付ファイルとしてあえて破損のあるWordドキュメントを送付することで、アンチウイルスによる適切な分析を不能にする手口だという。

Any.Runが観測したフィッシングキャンペーンでは、給与担当部署や人事部門を送信元に見せかけたフィッシングメールが送付される。件名には、ボーナスやその他の手当や補償について通知するような文言が記されており、関連するタイトルのWordファイルが添付されている。

しかしこのファイルを開封すると、ターゲットのPC上のWordソフトがファイルの破損を検出。ファイル内に読み取り不能なコンテンツが見つかったとする警告とともに、修復するかを問うメッセージが表示される。これに「はい」と答えると、Wordがファイルを修復。こうして開かれた文書には、ターゲット企業のロゴとともにQRコードが表示されており、スマートフォンでこれをスキャンして直接ボーナスやその他手当に関する文書へアクセスするよう指示する内容が記載されている。しかし、このQRコードの実際の遷移先はマイクロソフトのログインページに見せかけたフィッシングサイト。そして騙されたユーザーがここにログイン情報を入力すると、その認証情報が攻撃者の手に渡るという仕組みになっている。

故意に破損させた添付ファイルは、Wordソフトによって簡単に修復可能なものでありながら、破損がゆえにアンチウイルスによる適切な分析ができなくなっている。このためVirusTotalにアップロードされた添付ファイルのサンプルはみな、アンチウイルスソリューションによる判定が「クリーン」または「アイテムが見つかりません」だったという。また、添付ファイル自体に含まれるのはQRコードのみで、有害なコードが含まれていないという点も、今回のフィッシングの検出を困難にする要因の一つである可能性がある。

ただ、今回のような新たなフィッシング手法に対しても、「未知の送信者から送られてきたメール、特に添付ファイル付きのメールはすぐに削除するか、開封前にネットワーク管理者に確認する」などの一般的なフィッシング対策が有効であるとのこと。

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