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Flashpointの脆弱性ウィークリーレポート:CVE-2024-56196、CVE-2025-27554他

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2025.03.14

2025年3月第3週:Flashpointの脆弱性分析・優先順位付けに関するウィークリーレポート

脆弱性を予測し、状況を把握して優先順位を付けることで、組織に対する脅威に効果的に対処できます。

*本記事は、弊社マキナレコードが提携する米Flashpoint社のウィークリーレポート(2025年13月日付)を翻訳したものです。

 

脅威アクターのキャンペーンにおいて、初期アクセスベクターとして脆弱性が使われるケースは180%増加しており、これは効果的な優先順位付けのプランニングがこれまで以上に重要になったことを意味しています。毎週発行される本シリーズでは、Flashpointが優先的に対処すべきと判断した脆弱性とその根拠を詳しく説明するだけでなく、より効率的な修復措置をサポートするために、各組織が迅速に優先順位を決める際に役立つ分析をお届けします。

新しい脆弱性エクスプロイトやゼロデイは日々発見されており、プロアクティブに脆弱性を管理する戦略が必要不可欠になってきました。このウィークリーレポートを活用することで、セキュリティチームがパッチ管理にインテリジェンス主導のアプローチを採用できるようになるため、組織は包括的な脆弱性インテリジェンスを通じてタイムリーな修復措置を適用できるようになります。

主な脆弱性:2025年3月第3週

優先順位付けの出発点

Flashpointが今週公開した脆弱性のうち、すぐに対処可能な脆弱性は106件を数えます。それぞれの脆弱性には解決策と公開済みのエクスプロイトが存在し、リモートで悪用できる状態になっています。だからこそ、これらの脆弱性は優先順位付けの取り組みを始める出発点として理想的なのです。

先週公開された脆弱性のうち、エクスプロイトがリリース済みで解決策もあり、なおかつリモートで悪用可能な欠陥の数

画像1:先週公開された脆弱性のうち、エクスプロイトがリリース済みで解決策もあり、なおかつリモートで悪用可能な欠陥の数(画像入手元:Flashpoint)

さらに詳しく調査 – 緊急性の高い脆弱性

Flashpointが先週公開した脆弱性のうち、今週の脆弱性分析・優先順位付けに関するウィークリーレポートでは以下の4件が取り上げられています。その根拠は次の通りです。

 

  • 広く使用されている製品に存在し、企業に影響を及ぼす可能性がある
  • 実際に悪用されている、あるいはエクスプロイトが利用可能
  • システム全体が侵害される可能性がある
  • ネットワークを介して単体で、あるいはほかの脆弱性と組み合わせて悪用される可能性がある
  • 対処するための解決策がある

 

さらに、これらの脆弱性はすべて簡単に発見できるため、ただちに調査して修正する必要があります。

CVE ID説明CVSS スコア(v2、v3、v4)エクスプロイトのステータスエクスプロイトの結果ランサムウェア攻撃で利用される可能性ソーシャルリスク評価解決策の有無
CVE-2024-56196Apache Traffic Serverの proxy/http/remap/UrlRewrite.ccにおける、古いバージョンと互換性のないACLによって生じる未指定のリモートの問題10.0

9.8

9.2

公開されていない影響は不明あり
CVE-2025-27554ToDesktopのデプロイメント処理に起因するFirebase管理者キーの開示10.0

10.0

10.0

公開されていないリモートコードインジェクションあり
CVE-2025-22224VMware ESXi/Workstation VMCIにおける、未指定のTime-of-Check Time-of-Use(TOCTOU)競合状態 ゲストからホストへのヒープバッファ オーバーフロー7.4

8.8

9.3

悪用されている任意コード実行あり
CVE-2025-1393Weidmueller PROCON-WINにおける、未指定のハードコードされた認証情報10.0

9.8

9.3

公開されていない特権アクセス取得あり

評価:2025年3月10日時点

 

注:脆弱性の深刻度を表すスコアは、新たな情報が反映されたことで変動する可能性があります。Flashpointでは最新かつ関連性の高い入手可能な情報を使って脆弱性データベースを維持しています。より多くの脆弱性に関するメタデータを確認し、最新の情報を入手するにはログインしてください。

 

CVSSスコア:当社アナリストは入手可能な新しい情報を基に、NVDが評価したCVSSスコアを計算し、必要に応じて調整しています。

 

ソーシャルリスク評価:Flashpointでは脆弱性がソーシャルメディアでどの程度注目されているかを推定し、評価しています。言及や議論が増えるとソーシャルリスク評価も上がり、悪用される可能性が高くなります。この評価には投稿量や投稿者などの要素が考慮されており、脆弱性の関連性が低くなれば評価は下がります。

 

ランサムウェア攻撃で利用される可能性:この評価では、ある脆弱性とランサムウェア攻撃での使用が確認された脆弱性との類似性を推定します。当社が脆弱性に関する新たな情報(悪用方法、影響を受けるテクノロジーなど)を入手し、さらにランサムウェア攻撃に使われる脆弱性が追加で発見されると、この評価も変動することがあります。

 

これらの脆弱性にプロアクティブな姿勢で対処し、公開済みのソースにとどまらない包括的なカバレッジを確保するために、Flashpointの脆弱性インテリジェンスをご活用ください。ITやOT、IoT、CoT、さらにオープンソースのライブラリと依存関係を網羅する包括的なカバレッジを提供するFlashpointは、NVDに含まれていない、あるいはCVE IDのない脆弱性を10万件以上カタログ化し、一般に利用可能なソースを超える包括的なカバレッジを確保しています。なお、NVDでカバーされていない脆弱性はCVE IDが割り当てられていないため、VulnDBのIDによって言及されます。Flashpoint Igniteでは各要素が視認性の高いレイアウトにまとめられており、例えばApache Traffic Serverの脆弱性に関するレコードは以下のような形で参照することができます。

Apache Traffic Serverの脆弱性に関するVulnDBのレコード

Apache Traffic Serverの脆弱性に関するVulnDBのレコード

このレコードでは影響を受ける製品のバージョン、MITRE ATT&CKのマッピング、アナリストのメモ、解決策の説明、分類、脆弱性のタイムラインとエクスポージャー指標、エクスプロイトに関する参考情報など追加のメタデータが提供されています。

注目すべき脆弱性に対するアナリストのコメント

ここでは、組織が危険にさらされた際に重点的に対応すべき脆弱性について、すでに話題に上がった4つの脆弱性を例にFlashpointのアナリストが説明します。

CVE-2024-56196

CVE-2024-56196は、Apache Traffic Serverに存在する脆弱性です。この脆弱性はproxy/HTTP/remap/UrlRewrite.cc上に存在し、アクセス制御リスト(ACL)と旧バージョンとの互換性が不完全である場合に発生します。この結果、リモート攻撃者が不特定の影響を及ぼす可能性があります。根本的な原因は、古いバージョンのApache Traffic ServerのACL構成が、新しいバージョンに適合していないことにあります。このことが理由で、アクセス制御が意図したように実行されず、セキュリティギャップが生じます。要するに、この脆弱性はACL構成に対して十分な注意を払わないままシステムが更新されることで、以前のバージョンではブロックしていたIP範囲が再びアクセスできるようになったり、逆に正当なトラフィックが誤ってブロックされるという危険性があるということです。複数のバージョン間でACL処理が食い違うことで、不正アクセスやネットワークトラフィックの障害を引き起こすリスクが生まれます。この問題を解決するためにApacheは更新バージョンをリリースしており、利用者にはバージョン10.0.4へアップデートすることを推奨しています。

CVE-2025-27554

CVE-2025-27554はデプロイメント処理に関連する脆弱性です。これによりリモートの攻撃者は、ビルドサーバー上のconfig.prod.jsonファイルからハードコードされたFirebaseの管理者キーを暴き出せるようになります。またその後、データベース内で処理される任意のアプリケーションへアップデートをデプロイし、クライアントアプリケーション内で任意のコードを挿入・実行することも可能になります。当該ベンダーはこの脆弱性に対応するパッチをリリース済みであり、この不具合を修正するための既知の回避策や更新はありません。留意しておくべきは、この不具合がToDesktopアプリケーションそのものの脆弱性ではなく、ベンダーのFirebaseデータベースへのアクセスを許可するビルドサーバーおよび展開アーキテクチャによる脆弱性であるということです。ClickUp、Cursor、Linear、Notion Calendarなどの複数のアプリケーションが影響を受けていることが報告されています。

CVE-2025-22224

CVE-2025-22224は、VMware上に存在する脆弱性です。VMware ESXiおよびWorkstationには、time-of-check time-of-use(TOCTOU)の競合状態によって引き起こされるVMCI(VMware Virtual Machine Communication Interface)構成要素に関連する未特定のオーバーフロー状態が含まれています。これにより、仮想マシン上の攻撃者がヒープバッファーオーバーフローを引き起こし、DoS攻撃やホスト側で実行している仮想マシンのVMXプロセスとして任意のコードを走らせることができるようになります。この脆弱性は、少なくとも仮想マシンに対しての管理者権限を有している攻撃者によってのみ悪用することが可能です。2025年3月4日現在、実際に悪用されているとの報告も上がっています。この脆弱性に対処する更新バージョンについては、製品リストを参照してください。

CVE-2025-1393

Weibmueller PROCON-WINに存在するCVE-2025-1393は、不特定のハードコードされた認証情報を使用することで、リモート攻撃者がアプリケーションへの特権的アクセスを容易に取得できる脆弱性です。この種類の脆弱性は高度なハッキング技術がなくとも悪用できるため、特に危険です。公開されている、あるいは簡単に発見できることが多いデフォルトの認証情報を知っているだけで攻撃することができます。この脆弱性に対処する更新バージョンについては、製品リストを参照してください。

Flashpoint, VulnDBについて

Flashpointは、Deep & DarkWeb(DDW)に特化した検索・分析ツールです。ダークウェブ等の不法コミュニティで、どのようなPoCやエクスプロイトが議論・取引されているか等をモニタリングできます。また、Flashpointの一機能として利用できるVulnDBは、CVE/NVDデータベースにない脆弱性情報各脆弱性のメタデータを豊富に含んだ脆弱性データベースです。

 

日本でのFlashpointに関するお問い合わせは、弊社マキナレコードにて承っております。

また、マキナレコードではFlashpointの運用をお客様に代わって行う「マネージドインテリジェンスサービス(MIS)」も提供しております。

FlashpointやVulnDBについて詳しくは、以下のフォームからお問い合わせください。

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