ウクライナへのサイバー支援を続ける西側諸国に疲労感 ロシアとの戦争が長引く中で
非営利組織アスペン研究所が2日、西側諸国によるウクライナへのサイバー支援に関する報告書を発表し、国際的なサポートは同国をロシアのサイバー攻撃から守る上で重要な役割を果たしているものの、戦争が続くにつれてこうした支援が弱まり、これらの取り組みの長期的な有効性を危ぶむ声も高まっていることが明らかになった。
この報告書によると、米政府は過去2年間に8,200万ドル以上のサイバー支援をウクライナに提供し、多国籍イニシアチブのタリン・メカニズムも非軍事サイバー防衛能力の強化に2億ユーロ以上を調達してきたとのこと。さらに昨年2月には、欧州10か国からなるIT連合がウクライナの重要なITインフラを今後6年間支援することを約束している。
しかし報告書には、米国で政治的分裂が進んでいることや、世界各国で優先的に対処すべき事項が変化していること、今回の戦争が危機的状況を抜け出したという認識、そして資金不足といった理由により、支援を続けることへの懸念が高まっていることも事実だと記された。民間部門からの寄付は今も続いているが、戦争が予想以上に長引いているために規模が減少。西側のサイバーセキュリティ企業や組織で構成されるボランティアグループのサイバー防衛支援共同体(CDAC)といった主要組織も、支援活動の遅れや調整面の問題などで大きな課題に直面しているようだ。
またアスペン研究所は、ウクライナへのサイバー支援では当面の問題解決に注力すべきか、長期的なデジタル力の構築に重点を置くべきかで意見が分かれていると指摘。適切な優先事項について合意し、効果的に協力することが依然として課題になっていると述べた。
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第4章:サプライチェーンリスク
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