3月26日:サイバーセキュリティ関連ニュース
情報セキュリティ専門家のTroy Hunt氏がフィッシング被害、Mailchimpのメーリングリストを盗まれる
The Register – Tue 25 Mar 2025
著名な情報セキュリティ専門家のTroy Hunt氏がフィッシング被害に遭い、Mailchimpの自身のメーリングリストを盗まれたようだ。
個人情報の漏洩を確認できるサービスHaveIBeenPwned(HIBP)で知られるHunt氏は、この事件についてブログ上で報告。受け取ったフィッシングメールのスクリーンショットを提示し、自身が騙された経緯について説明している。これによれば、メールの内容は「スパムの苦情」があったことが原因でHunt氏のMailchimpアカウントが制限され、一時的にメール送信ができなくなっている旨を伝えるもの。この問題を解決するためにはアカウントのレビューが必要だとして、ログインを促す文面とリンクが記載されていた。Hunt氏はこれを信じ、リンク先のフィッシングページで自身の認証情報を入力してしまったという。同氏はその手口が非常に巧妙だったことを認めた上で、これを見破れなかった最大の要因に自身の疲労を挙げた。この攻撃は特に同氏を狙ったものではなく、自動化されたものとみられている。
Hunt氏によると、同氏の認証情報で不正にログインしたハッカーによってエクスポートされたメーリングリストは約16,000件のレコードで構成されているが、約半数(7,535件)はすでに登録を解除した個人に関するものだという。同氏はこうしたユーザーのデータをMailchimpが保持している理由を疑問視しつつ、自身の設定に問題があったかどうかを調べる意向を示している。
Mailchimpはハードウェアセキュリティキーやパスキーなどフィッシング耐性のある2要素認証(2FA)方式を提供しておらず、認証アプリまたはSMSで配信されるOTP(ワンタイムパスワード)を採用している。
アクセスブローカーRaspberry Robinに関連する一意のC2ドメインが200件近く見つかる
The Hacker News – Mar 25, 2025
米セキュリティ企業のSilent PushとTeam Cymruが共同で行った調査により、Raspberry Robinマルウェアに関連する一意のコマンド&コントロール(C2)ドメインが200件近く発見された。
The Hacker Newsに共有されたレポートによると、Raspberry Robin(別名RoshtyakまたはStorm-0856)は複雑かつ進化を続ける脅威アクターで、ロシアとつながりがある多数の犯罪グループに初期アクセスブローカー(IAB)サービスを提供している。このマルウェアは2019年に出現して以来、SocGholish、Dridex、LockBit、IcedID、BumbleBee、TrueBotなどさまざまな亜種の経路となっており、ペイロード取得に侵害されたQNAPデバイスを使うことからQNAPワームとも呼ばれている。
最新の分析ではまず、侵害されたすべてのQNAPデバイスを結ぶデータリレーとして使われるIPアドレスが見つかり、これを出発点としてさらに固有のC2ドメインを180件以上発見。インフラの詳細な調査により、Raspberry RobinのC2ドメインが短い(例:q2[.]rs、m0[.]wf、h0[.]wf、2i[.]pm)ことや、削除されにくくするために高速フラックスと呼ばれる手法を使い、侵害されたデバイス間およびIPを介して急速にローテーションされていることも明らかになった。
また、Raspberry Robinのトップレベルドメイン(TLD)には.wf、.pm、.re、.nz、.eu、.gy、.tw、.cxなどがあり、ドメインはSarek Oy、1API GmbH、NETIM、Epag[.]de、CentralNic Ltd、Open SRSといったニッチなレジストラを使って登録されているようだ。特定されたC2ドメインの大半は、ブルガリアの企業ClouDNSにネームサーバーがあるという。
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目次
第1章:脅威ランドスケープの急速な変化:波乱のランサムウェア情勢と新たに報告された攻撃手法
第2章:世界情勢や地政学がサイバーセキュリティにもたらす影響
第3章:スティーラーの急成長と認証情報の漏洩が生むリスク
第4章:サプライチェーンリスク
第5章:2024 年に組織を脅かした脆弱性