2025年8月6日:サイバーセキュリティ関連ニュース
シスコがサードパーティCRMからのデータ漏洩を公表、Cisco[.]comのユーザーアカウントに影響
BleepingComputer – August 5, 2025
シスコ(Cisco)は8月1日、同社サイト「Cisco.com」へ登録したユーザーの基本的なプロフィール情報が盗まれたことを公表。このデータ窃取は、同社従業員をボイスフィッシング(ビッシング)攻撃で騙すことにより実施されたという。
シスコの声明によると、同社がインシデントを認識したのは7月24日。攻撃者はビッシングの手口により1人の従業員を騙すことで、シスコ社が使用するCRM(顧客管理)システムへのアクセスに成功すると、Cisco.comのユーザーアカウントを保有する個人の名前、所属組織名、住所、シスコが割り当てたユーザーID、メールアドレス、電話番号、アカウントメタデータ(アカウント作成日など)を当該CRMシステムから盗み出したという。なお、このシステムはサードパーティベンダーが提供するクラウドベースのサービスだとされる。
ただ、「組織顧客」の機密情報や専有情報は盗まれておらず、パスワードやその他の機微性の高い情報も無事だったという。シスコはまた、同社自身のサービスや製品は影響を受けていない旨も伝えている。
シスコ自身が認めたわけではないものの、今回の攻撃は、恐喝グループShinyHuntersの関与が疑われる一連のデータ窃取攻撃キャンペーンの1つである可能性が高いとBleepingComputerは指摘している。このキャンペーンは、ターゲット組織の従業員をビッシングとソーシャルエンジニアリングの手口で欺き、当該組織が使用するSalesforceのインスタンスへのアクセスを獲得してそこからデータを盗み出すというもの。窃取されたデータは、その後組織を恐喝する際に利用される。キャンペーンの被害者には、Adidas、カンタス空港、Allianz Life、Louis Vuitton、Dior、Tiffany & Co.、Chanel、Pandoraが含まれるとされている。
シスコは、今回の攻撃で情報を盗まれた個人の人数や、攻撃者が身代金を要求したか否かなどの詳細を明かしていない。
生理管理アプリFloから密かにユーザーの月経データを集めていたメタはカリフォルニア州プライバシー法に違反:陪審が判断
米カリフォルニア州の陪審員は8月1日、生理周期追跡アプリ「Flo」のユーザーが提訴した集団訴訟において、メタ社が州のユーザープライバシー法に違反したとの判断を下したという。Floが抱える多数のユーザーの代表であると主張する原告らは、Floとメタが広告追跡等の目的でFloのアプリを通じてユーザーの生理日や妊活目標などのプライベートな保健データを無断で収集し、カリフォルニア州プライバシー侵害法(CIPA)に違反したと訴えていた。
このFloに対する訴訟は2021年に提訴されたもので、メタ社に加え、Googleや広告分析企業のAppsFlyerおよびFlurryも被告として名指しされていた。なおGoogleは今年7月、Floは8月頭に、それぞれ和解を成立させている。
今回の陪審の判断を受け、原告側の主担当弁護士はデジタルな保健データの保護およびビッグテック企業の責任に言及しつつ、「メタのような企業がユーザーの最も個人的な情報から秘密裏に利益を得ている場合、責任を追及されるべき。今日の結果は、特に機微性の高いデータに関するプライバシーの根本的な権利を強化するものだ」などと述べたという。
一方のメタは判決に異議を唱え、Floのユーザーの情報を不正に傍受したことはないと主張しているとのこと。
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本レポートでは、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争などの紛争や各国での選挙といった地政学的イベントについて振り返りつつ、それに伴うサイバー攻撃やハクティビズム、偽情報キャンペーンなどのサイバー空間での動きを解説します。また、中国・ロシア・北朝鮮・イランの各国について、関連するハクティビストグループやAPTグループの攻撃事例・特徴などを紹介しながら、サイバーインテリジェンスにおける領域横断的なアプローチの必要性について考えていきます。
目次
- 序論
- ハクティビズム
- ハクティビズムの変遷
- 戦争におけるハクティビズム
- 「選挙イヤー」におけるハクティビズム
- 絡み合う動機
- 国家の支援を受けたハッカー集団
- 偽情報
- 国家間対立
- 偽情報とロシア・ウクライナ戦争
- 偽情報とイスラエル・ハマス戦争
- 偽情報と選挙が世界にあふれた2024年
- 国家型APTの活動
- 中国
- ロシア
- 北朝鮮
- イラン
- マルチチャネルインテリジェンスの運用化における課題と関連リスク