2025年11月14〜17日:サイバーセキュリティ関連ニュース
ジャガー・ランドローバー、サイバー攻撃に伴う費用は総額1億9,600万英ポンドと発表
BleepingComputer – November 15, 2025
英自動車メーカーのジャガー・ランドローバー(JLR)は2026年度第2四半期(2025年7月1日〜9月30日)の決算を発表し、最近のサイバー攻撃に伴い総額1億9,600万英ポンド(本稿執筆時点の換算レートで約399億円)もの費用が発生したことを明らかにした。
このサイバー攻撃は2025年9月2日に公表され、JLRは主要工場の生産を停止したほか、従業員を自宅待機させるなどの対応を余儀なくされた。同社はその後の声明でデータが盗まれていたことを認めており、Telegram上ではサイバー犯罪組織「Scattered Lapsus$ Hunters」から犯行声明も出されていた。
その後、JLRは数週間続いた混乱で財務状況と市場ポジションを圧迫され、一部のサプライヤーと共に深刻な流動性問題に直面していたものの、2025年9月29日に英政府が救済に介入。サプライチェーンの復旧と生産の早期再開を支援するため、15億英ポンド(同約3,052億円)の融資保証が承認された。さらに段階的なアプローチを経て、同社の生産は同10月8日までに再開されている。
今回発表された財務諸表には、このサイバー攻撃がJRLの利益に大きな打撃を与えたことが記されている。同社は「特別損失控除前の税引前損失は、第2四半期で4億8,500万英ポンド(約987億円)、上半期では1億3,400万英(約273億円)ポンドとなり、それぞれ3億9,800万英ポンド(約810億円)、11億英ポンド(約2,238億円)の利益を計上した前年同期から減少した」と報告した。収益性が低下した主な原因には、サイバーインシデント、米国による関税の継続的な影響、生産量の減少、VME(車両・機械・設備投資)の増加を挙げている。
それでもJRLは現在事業が安定しており、卸売・部品物流・サプライヤーファイナンスが完全に回復したと強調。投資支出も削減されておらず、2024年度からの5年間で180億英ポンド(約3,663億円)を維持すると見込んでいる。
CYBERCOM 2.0:米国防総省がサイバー人材不足解消計画を発表
SecurityWeek – November 14, 2025
戦争省(DoW)への改称が検討されている米国防総省(DoD)は「CYBERCOM 2.0」と名付けられた構想の下、サイバー戦力育成モデルの改訂版を策定している。
この取り組みは従来の軍務モデルがサイバー領域の作戦要件を満たしていないとの判断を受け、DoDのサイバー部隊、とりわけ米国サイバー軍(CYBERCOM)所属部隊の殺傷力を高め、作戦成果を最適化することを目的としている。サイバー軍と各軍の部門を統合し、人員の採用、評価、選抜、訓練、そして維持を効率化するこのモデルには、以下7つの中核特性が定められている。
- ターゲットを絞った採用と評価 – 米サイバー軍への配属を募集し、サイバー業務への適合性を評価
- 優秀なサイバー人材の採用・維持に向けたインセンティブ – サイバー領域の習熟を促進し、実働部隊の人材を維持
- カスタマイズ可能で機敏な高度訓練 – 運用要件を満たす、専門的かつミッションに特化した訓練を提供
- カスタマイズされた配属管理 – 実働部隊のサイバー領域に関する習熟度の向上・維持を可能にするキャリアパスの採用
- 専門化されたミッションセット – カスタマイズされたミッション要件に基づき、部隊の専門化と集合訓練を策定
- 司令部と戦闘支援の整備 – 完全な機能を備え、作戦遂行を支援する戦術司令部を整備
- 部隊のフェージングを最適化 – 持続可能なスピードで作戦を展開するために部隊のフェージングを実施
これに加え、DoWは主要機関として以下3組織の名前を挙げている。
- Cyber Innovation Warfare Center(サイバーイノベーション戦センター):運用サイバー能力の開発を加速させ、迅速に提供
- Cyber Talent Management Organization(サイバー人材管理組織):エリートサイバー部隊の発掘・勧誘・採用・維持を担当
- Advanced Cyber Training and Education Center(高度サイバー訓練教育センター):専門知識および習熟度を養成するため、任務に特化した訓練と教育を開発・提供
こうした技術的および構造的な変化により、主要敵対国(DoWのプレスリリースでは中国を具体的に名指し)の脅威に対抗できるサイバー部隊が誕生すると予測されている。ただし、このプロジェクトの完了には数年かかるとも報じられており、一部の機能については実施が2032〜2033年度まで先送りされる可能性もあるという。













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