ベネズエラでの停電は本当に米国の「サイバー作戦」によるものだったのか?記者が確信を持てない理由
ニューヨーク・タイムズ紙は1月15日、ベネズエラ侵攻時に米国が行ったとされる「サイバー攻撃」についての新たな情報を報道。このサイバー作戦により首都カラカスで停電が引き起こされたと伝えられているものの、ArsTechnica紙の記者はその他の要因で停電が発生した可能性もあるとし、フォレンジック証拠が見つかるまでは判定を見送るべきとの姿勢を示した。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、米国サイバー軍(USCYBERCOM)が関与したと伝えられているこのサイバー作戦により、首都カラカス市内の大半の家屋でほんの数分間のみ停電を発生させることが可能になったという。ただ、マドゥロ大統領が捕えられた軍事基地の周辺では、3日間にわたり停電が続いたとされる。同紙はさらに、ベネズエラ軍のレーダー防御システムもサイバー作戦の標的になったと伝えた。
一方で、具体的にどのような手法で停電を引き起こしたのかについては共有されていない。例えば2015年にロシアがウクライナで発生させた停電は、以下の手順で引き起こされたと報告されている。
- ①攻撃者は汎用的なマルウェア「BlackEnergy」を使って、標的となった電力会社のコーポレートネットワークへ侵入。
- ②さらに、電力の生成と送電に用いられている監視制御・データ収集システム(SCADA)にも侵入。
- ③正規の電力配電機能を利用し、停電を発生させることに成功。6時間超続いたこの停電により、225,000人以上の人々が影響を受けた。
ロシアはさらにその約1年後にも、ウクライナの電力供給網の主要部分を狙ってマルウェア「Industroyer(Crash Override)」による攻撃を実施。このマルウェアは、送配電網システムを直接攻撃できる最初のマルウェアフレームワークと言われている。
ベネズエラの停電に関しては上記のような詳細が明かされていないことに加え、電力専門家らが同国の送配電網が長年放置されてきた事実を指摘していることにArsTechnica紙の記者は注目。専門家らは、送配電網の保守管理が不十分だったことが停電の原因となった可能性は十分にあると述べているという。
加えて同記者は、米国のミサイルが少なくとも部分的には停電の原因になったとのベネズエラ政府の主張にも注目している。真偽は未確認であるものの、爆撃された変電所を映しているとされる動画がソーシャルメディア上で出回っていることにも言及した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、ベネズエラの電力インフラへの攻撃が米国サイバー軍の「精緻さを示した」上、米国が「強力かつ的確な効果を伴うサイバー兵器を使用可能であること」が示されたと報じている。
しかしArsTechnica紙の記者は上記の理由から、十分なフォレンジック証拠が見つかるまでは最終判断を保留すべきという考えを示した上、「キネティックな(物理的な)攻撃であれサイバー攻撃であれ、送配電網への軍事攻撃は病院や、市民の生存に不可欠なその他のインフラを破壊する可能性のある付随的損害を引き起こす」恐れがある点にも言及。どのような手段が使われたにせよ、こうした攻撃は物議を醸すものである点を明記した。
イランのインターネット遮断期間が過去最長レベルに到達、反政府デモが続く中
反政府デモが全土に広がるイランでは、1月8日に政府がインターネットの遮断を開始し、国民9,200万人がインターネットを利用できない状態が1週間以上続いているという。
イランでは昨年末から始まった反政府デモが激化しており、治安当局が暴力的にこれを弾圧。米国の人権団体は、弾圧によってこれまでに2,400人以上が殺害されたと報告している。
政府の措置により、1月15日時点で、イラン全土で170時間以上インターネットが利用できない状態が続いている。Webモニタリング団体のNetBlocksによると、これは、それまで同国におけるインターネット遮断期間として最長だった2019年の163時間および2025年の160時間を上回る数字だという。また、世界規模で見ると、2021年にスーダンで実施された遮断(35日間)と2024年にモーリタニアで実施された遮断(22日間)に次いで、第3位に入る長さだとされる。なお、このランキングの正確な順位はネット遮断の計測方法によって変動する場合もある。
イラン政府は長らく、抗議活動や内紛が発生した際にインターネットへのアクセスをシャットダウンしてきた。こうした措置により、抗議の様子を国外からモニタリングすることが困難になる場合が多い。ただ、比較的少数ながら、スターリンクの端末を使ってインターネットに接続している者もいるとThe Guardian紙は報じている。
イラン情勢をめぐっては、トランプ米大統領が軍事的選択肢も検討している旨を示唆するなど緊張が高まる場面があったほか、英国もテヘランの大使館を一時閉鎖して職員を退避させるなど、国際的な懸念が広がっている。
















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