フランス内務省、Eメールサーバーに対するサイバー攻撃の発生を認める

佐々山 Tacos

2025.12.16

2025年12月16日：サイバーセキュリティ関連ニュース

フランス内務省、Eメールサーバーに対するサイバー攻撃の発生を認める

BleepingComputer – December 15, 2025

フランスのローラン・ヌニェス内務大臣は12月12日金曜日、同国内務省がサイバー攻撃被害に遭い、Eメールサーバーを侵害されていたことを認めた。

報道によれば、攻撃が検出されたのは12月11日夜から12日の間。複数のドキュメントファイルへの不正アクセスがあったとされているものの、当局はデータが盗まれたか否かについてはまだ確認していないという。攻撃の出どころや影響範囲については現在捜査中とされている。

ヌニェス大臣はフランスメディアに対し、「外国による干渉の可能性もあるし、当局に挑戦しシステムへのアクセス能力をひけらかしたいと願う人物によるものの可能性もあるし、サイバー犯罪の可能性もある」と述べて複数の可能性を提示したものの、「現時点ではどれかわからない」と語った。なお内務省は警察組織を監督し、国内治安および移民関連業務を管轄している省であり、国家支援型のハッカーやサイバー犯罪者にとって価値の高い標的だと言える。

一方、ある脅威インテリジェンスプラットフォームのXポストによると、12月13日にはハッキングフォーラム「BreachForums」の復活版を名乗るサイトにおいて、同サイトの管理者を自称するハッカー「Indra」がフランス内務省の侵害に成功したと投稿。同国の警察ファイルにあった個人16,444,373人分のデータへのアクセスを獲得したと主張したという。

またIndraは、「逮捕された友人たち（ハッキンググループShinyHuntersのメンバーらとされる）の敵討ち」が攻撃の動機だと述べたほか、「TAJ」と呼ばれる犯歴記録ファイルや、「FPR」と呼ばれる捜索対象者ファイルなどにもアクセスしたことを示唆している。

ただし、Indraの主張の真偽は現時点で不明。

ジャガー・ランドローバー、8月の攻撃で従業員データが盗まれていたこと認める

The Record – December 15th, 2025

英国の大手自動車メーカーであるジャガー・ランドローバー（JLR）は、8月に同社を襲ったサイバー攻撃において現従業員および元従業員のデータが侵害されていたことを認めた。

このサイバー攻撃の発生が9月2日に公表されて以降、同社が被害の詳細を明かすのは今回が初めて。サイバー犯罪グループ「Scattered Lapsus$ Hunters」が犯行声明を出したこの攻撃は、JLRの生産を1か月以上にわたって停止させ、同社は2025年9月末までの四半期で6億8,000万ポンドの損失を計上した旨を報告していた。

攻撃の性質自体はまだ公になっていないものの、JLRの広報担当者によれば、「現在および過去のJRL従業員と請負業者に関係する特定のデータがこのサイバーインシデントによる影響を受けた」ことが進行中のフォレンジック調査により明らかになったという。該当する従業員および請負業者には必要に応じて通知のプロセスを進めており、専用のヘルプラインを設置するとともに、信用情報および／または本人確認モニタリングサービスへのアクセスも手配した旨も伝えられた。

テレグラフ紙の報道によると、JLRは影響を受ける従業員らに宛てたEメールの中で、侵害されたデータは「雇用に関連する文脈で保有されていたものであり、給与、福利厚生、従業員向け制度を従業員およびその扶養家族に提供・管理するために必要な一部の情報だった」と説明していたという。

このサイバー攻撃はJLRのみならずそのサプライチェーン上の5,000を超える他組織にも影響を及ぼしたと報じられている。あるモニタリンググループは、この攻撃が英国経済に与える損害は推定19億英ポンドになるとの分析結果を明かしていた。