パランティアが英金融規制当局データへのアクセスをゲット、プライバシーの懸念広がる
The Guardian – Sun 22 Mar 2026
英国の金融規制当局が、金融犯罪対策の一環として内部情報データを分析する契約をパランティア社に発注。米AI企業であるパランティアが英国の極めて機密性の高い金融規制データにアクセスすることを可能にするこの契約は、同社による英国政府への影響力拡大に対する懸念やプライバシーに関する懸念を呼んでいるという。ガーディアン紙が報じた。
英国金融行為規制機構(FCA)とパランティアの契約は、詐欺、マネーロンダリング、インサイダー取引などの金融犯罪対策の一環として結ばれたもの。具体的には、FCAがデジタルインテリジェンスを活用し、大手銀行から仮想通貨取引所まで、同機構が規制する4万2,000社の金融サービス企業における規則違反の摘発にリソースをより効果的に集中させる取り組みとされる。
この取り組みのため、パランティアはFCAの保有する膨大な量の情報に対し、同社のAIシステム「Foundry」を適用することが見込まれる。これらのデータに含まれるのは、機密性の高さが強調表示された案件インテリジェンスファイル、いわゆる「問題企業」に関する情報、貸し手から寄せられた詐欺の立証事例および疑わしい事例に関する報告、消費者が金融オンブズマンの元に寄せられた苦情を含む一般市民に関するデータなど。ガーディアン紙によれば、通話の録音やEメール、ソーシャルメディアの投稿といった情報も含まれるという。
こうしたデータへのアクセス権をパランティアに付与する今回の契約を受け、「非常に重大なプライバシー上の懸念」に関する警告が複数発せられている。ガーディアン紙のある情報筋は、FCAがマネーロンダリングの脅威をどのように検知しているかをパランティアが理解した場合、同社がその情報を外部に共有しないとは言い切れない点を懸念。パランティアが倫理的に信頼できる企業であることを知る術はないことを示唆したという。
「倫理性」に関連して、パランティアのテクノロジーといえばイスラエル軍や米国のICE(移民・税関捜査局)が使用していることで知られる。このため英国の左派系議員らは2026年2月、同社を「極めて疑わしい」かつ「ぞっとするような」企業であると指摘していた。なお、同社は2023年に英国保健サービス(NHS)と3億3,000万ポンドの契約を締結したが、これに対し医師たちからは反発が巻き起こっている。また、2025年12月には英国国防省と2億4,000万ポンドの契約を結んだが、これを受けて国会議員らは、「パランティアに対して、人権侵害への加担や民主的プロセスの阻害に関する深刻な疑惑が報告されている」旨を指摘していた。
一方で、FCAが持つ権限の大きさも今回の契約を危ういものにし得る要因の1つ。金融犯罪事件の弁護を専門とする英法律事務所Hickman & Roseのパートナー兼法廷弁護士Houssemayne du Boulay氏によれば、FCAは、執行調査を行う際に企業に対して膨大な量のデータ提出を強制する権限を持つという。こうしたデータには、「数百ものEメールアカウント全体や、完全な財務記録」が含まれる可能性があり、「多くの無実の人々」の情報がFCAの手に渡り得るとHoussemayne du Boulay氏は指摘。これには、「銀行口座の詳細、メールアドレス、電話番号、その他の個人情報が含まれているかもしれない」とした上で、「そのデータを取得し、AIシステムの学習に利用する場合、極めて重大なプライバシー上の懸念が生じます。パランティアがデータをどのように扱うかについては、厳格な機密保持要件が設けられるべきです」と語った。
なお、FCAは「パランティアが同社製品のトレーニング目的でデータをコピーすることはできない」と主張しているとのこと。



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