中国スパイUNC5221、被害者のMicrosoft 365ネットワークに18か月間潜伏
中国関連のサイバースパイグループUNC5221が、BRICKSTORMマルウェアや新たなマルウェアPlenetおよびAgentPSDを使用して、被害組織のネットワークへのアクセスを長期間にわたって維持していたという。サイバーセキュリティ企業Volexityが、2025年9月に実施した同インシデントへの対応について共有した。
UNC5221はVerdantBambooやWARP PANDAといった呼称でも知られる脅威アクターで、遅くとも2023年以降、Ivanti製品などのゼロデイ脆弱性を悪用したサイバースパイ攻撃に関与してきたとみられている。
Ivantiは当初、顧客組織のネットワークにおけるEgnyte Storage Syncシステムから不審なトラフィックが観測されたことから、インシデント対応を開始。調査の結果、UNC5221がこのシステムを侵害していたこと、また被害組織のWeb SSL VPNを通じて定期的に同システムへアクセスしていたことが明らかになったという。
同アクターはEgnyte Storage Syncシステムを足場にし、BRICKSTORMマルウェアや盗難認証情報などを使って被害組織のMicrosoft 365へ不正にアクセスしたとみられている。Volexityによれば、その潜伏期間は少なくとも18か月間に及んでいたとされる。この侵害においては、BRICKSTORMに加えて、Pythonで記述され、PyInstallerでパッケージ化された基本的なリバースシェルの「AgentPSD」が展開されていた。AgentPSDは、ほかのマルウェアがアクセス不能になった時用の予備的な永続メカニズムだったものとみられている。
Volexityは攻撃に対する緩和プロセスを完了させたものの、数日後にUNC5221は再び同一組織を侵害。この2度目の侵入においては、盗んだ認証情報を使用して被害組織のファイアウォール上でSSL VPNアクセスを有効化・設定変更した後、内部システムに接続し、Synology NASデバイスに追加のカスタムマルウェアPlenetを展開したとされる。
Volexityはこの2回目の攻撃を受けて被害組織の委託先であるMSP(マネージドサービスプロバイダ)での調査を開始。同MSP環境においても、UNC5221がpfSenseファイアウォール上にBRICKSTORMマルウェアのBSD版を展開していたことを発見したという。Volexityは、このファイアウォールに関しても少なくとも検出の18か月前から侵害されていたと結論づけているほか、UNC5221はMSPから被害組織の環境へと移動したのだろうと中程度の確度で評価している。
2回目の攻撃で展開されたPlenetは、.NETベースのクロスプラットフォームバックドア。Googleには「Grimbolt」と呼ばれているこのバックドアは、インタラクティブシェルへのアクセスやリモートコマンド実行、ファイル操作、C2サーバーの切り替えといった機能を持つ。
Volexityは調査の過程でUNC5221関連のインフラを見つけようと、BRICKSTORMがC2通信に用いていたIPアドレスおよびドメインのフィンガープリントを作成。数台のマシンを特定することに成功したものの、同アクターはその後インフラをオフラインにしたため、それ以上のシステムを暴き出すことはできなかったという。
Volexityは、UNC5221を「非常に熟練した脅威アクター」であると評価。LotL(living-off-the-land/環境寄生)の手法とマルウェアを組み合わせ、EDRソリューションをサポートしていないシステムを標的にしていると指摘した。同社はブログ記事にさらに詳しい解説を掲載しているほか、GitHubページでIoCも共有している。
関連資料をダウンロード

Codebook 2025 ~サイバーセキュリティ分析レポート~
いつもCodebookをご覧いただきありがとうございます。 Codebookでは2023年より、平日ほぼ毎日、サイバーセキュリティ/インテリジェンス関連の英文ニュースを厳選し、日本語で簡潔に要約...

デジタル時代における世界の紛争
地政学的紛争とサイバー作戦の境界は曖昧さを増し、国家や非国家主体によるサイバー攻撃が日常的に行われる中、戦争や外交の在り方が複雑化しています。 特にハクティビズムや偽情報キャンペーンは、ロシア・ウク...
-300x200.png)
【最新版】要件主導型インテリジェンスプログラムの構築方法|Silobreaker Report
本レポートは、サイバー脅威や地政学的リスクが高度化・複雑化する現代において、組織が適切な意思決定を行うために不可欠な「脅威インテリジェンス」の実践方法を解説するハンドブックです。特に、インテリジェンス...

OSINTから読み解く国家支援サイバー脅威の攻撃トレンド
国家の支援を受けたサイバー脅威が進化を続けています。昨年の国内暗号資産取引所からのビットコイン流出に、北朝鮮アクターの巧妙なソーシャルエンジニアリングが利用されていたことは、記憶に新しいかと思います。...













