中国関連ハッカー、LinuxマルウェアShowboatとWindowsマルウェアJFMBackdoorで通信事業者を標的に
BleepingComputer – May 21, 2026
中国関連のサイバースパイキャンペーンで使われていると見られる新たなLinuxマルウェア「Showboat」およびWindowsマルウェア「JFMBackdoor」について、Black Lotus Labs(Lumen)とPwC Threat Intelligenceがそれぞれ報告。キャンペーンでは、電気通信事業者が標的になっているという。
Black Lotus Labsは、VirusTotal上でShowboatを発見したことから調査をスタート。このマルウェアは2025年5月5日にVirusTotalへアップされており、検出率はゼロだったという。一方でPwCは、中国を拠点とする脅威アクター「Red Lamassu(Calypso APT)」を追跡していた際に見つかったWeb上の公開ディレクトリから、Showboat(kworker)およびJFMBackdoorの発見に至っている。Black Lotus LabsおよびPwCは調査プロセスを通じて協力し合い、5月21日に前者がShowboat、後者がJFMBackdoorに焦点を当てたブログ記事をそれぞれ公開した。
Showboat
Black Lotus Labsが「Showboat」と名付けたLinuxインプラントは、初期侵害後の長期アクセス維持に使われるモジュラー型のポストエクスプロイトフレームワーク。リモートシェルの起動、ファイル転送、およびSocks5プロキシとしての機能を持つとされる。Black Lotus Labsによれば、Showboatは遅くとも2022年半ばから始まった攻撃キャンペーンで使われており、中東地域の電気通信事業者が攻撃の影響を受けたほか、東南アジア地域の電気通信企業数社がなりすまし対象として使われたという。
Showboatは標的システムに展開されると、ホストに関する情報を集めてそれをC2サーバーへ送信する。また、ファイルのアップロード・ダウンロードや自身のプロセスの秘匿、新たなサービスを介した永続性の確立といった役割も担うとされる。
同マルウェアにおいて最も注目に値するのが、SOCKS5プロキシおよびポートフォワーディングの中継点として機能する点。侵害したエンドポイント上における「足場」になることで、攻撃者が内部ネットワーク上のその他のシステムへと移動することを可能にするという。
Black Lotus Labsは、Showboatが「中国と関連する複数の脅威アクターが使用する最新のポストエクスプロイトフレームワーク」であろうとの考えを示している。
JMFBackdoor
一方で、PwCが詳細を報告したJMFBackdoorはフル装備のWindows向けスパイインプラントで、以下のような機能を持つという。
- リバースシェルアクセス:感染したマシン上でのリモートコマンド実行
- ファイル管理:ファイルのアップロード、ダウンロード、修正、移動、削除
- TCPプロキシ:被害者のシステムを、内部システムへのネットワークリレーとして使用
- プロセス/サービス管理:プロセスやサービスの開始、停止、作成、削除
- レジストリ操作:Windowsのレジストリキーおよび値を変更
- スクリーンショットの取得 — 被害者のデスクトップのスクリーンショットを撮影し、抽出のために暗号化
- 暗号化された設定管理 — マルウェアの設定を暗号化された設定ファイルに保存・更新
- 自己削除およびフォレンジック対策 — 活動の隠蔽、永続化の解除、痕跡の消去
PwCによれば、同マルウェアの感染チェーンはバッチスクリプト(1.bat)によりスタート。このスクリプトにより数件のペイロードが展開され、DLLサイドローディングのプロセス(fltMC.exe + FLTLIB.dll)が開始されるという。その後、最終的にJMFBackdoorがロードされる。
Red Lamassu
PwCは、同社が「Red Lamassu」として追跡する脅威アクターを調べていたところ、IPアドレス「23.27.201[.]160」上でホストされているオープンディレクトリを観測。ここから、上記の感染チェーンに関するバイナリや、Black Lotus LabsがShowboatと名付けたマルウェアに該当する「kworker」が見つかったとされる。
同社によれば、Red Lamassuは中国を拠点とした脅威アクターで、カザフスタン・アフガニスタン・インドを中心にアジア地域の電気通信組織を標的にする活動と関連しているという。Calypso APTとしても知られる同アクターは遅くとも2019年から活動しており、独自のツール類と他アクターと共有されているツール類を多数駆使して被害者環境内での持続的な足場を確保し、長期的なインテリジェンス収集を行うとされる。
インフラの分析結果は、Red Lamassuが部分的に分散化された運用モデルを採用しており、そのモデルにおいては複数のクラスターが同様の証明書生成パターンやツールを共有しつつ、それぞれ異なる被害者グループを標的としていることが示唆されるという。
PwCは、同アクターに関するIoCをGitHub上で共有している。
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