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KPMGのAI関連レポートが意図せずハルシネーションリスクを「実演」との指摘

佐々山 Tacos

佐々山 Tacos

2026.06.15

KPMGのAI関連レポートが意図せずハルシネーションリスクを「実演」との指摘

The Register – Fri 12 Jun 2026

世界的コンサルティングファームKPMGが2025年10月に公開したエージェント型AIに関するレポートには、生成AIのハルシネーションによって生成されたと思われる情報が複数含まれているという。GPTZeroが調査結果を報告した。

 

問題のレポート「Total Experience: Redefining Excellence in the Age of Agentic AI」は、カスタマーエクスペリエンスとエージェント型AIについて報告したレポート。GPTZeroは、このレポートを詳細に検証した結果、45件の引用文献/参考文献のうち、出典を正しく明記していたのはわずか5件のみであったと指摘。残りの引用/参考文献は、内容が歪曲されていたり誤解を招くものであったり、一部が捏造されていたり、あるいは曖昧すぎて検証不能であったりしたという。

 

GPTZeroはこの現象を「バイブサイティング(vibe citing)」と命名。この名はAIツールに自然言語でプロンプトを与えてコードを生成させる「バイブコーディング」に由来しており、今回のレポートにおいては、AIによって正規の出典が断片的につなぎ合わされたり、実在しないタイトルが捏造されていたり、一見もっともらしく思える引用元リンクが生成されたりしていたとみられる。

 

GPTZeroによれば、KPMGの同レポートに記された事実に関する主張の約半数は虚偽であるか、裏付けがないか、あるいは出典が誤っているという。特に、エージェント型AIの最先端とされる導入事例を強調したいくつかのケーススタディは、とりわけ「独創的」だったとされる。その例としてGPTZeroが挙げたものの一部が、UBS、スイス連邦鉄道、ロンドン交通局での「エージェント型AI採用事例」に関する引用/参考文献。これらのケーススタディを裏付ける情報源とされた文献は、レポートの主張を裏付けるものではなかったか、あるいはその信頼性を損なうような改変や言い換えが含まれていたとされる。

 

また、こうしたエラーは脚注部分に限ったことではないとGPTZeroは主張。例えばレポート本文の42ページには、エミレーツ航空が「Sara」という名前のモバイルチャットボットを採用した旨と、Saraは乗客と直接やり取りでき、フライトの変更にも応じられる旨が記されている。しかし実際には、Saraはエミレーツが2023年に導入したロボットアシスタントでありチャットボットではない上、Saraにはフライト予約の変更を行う性能はないという。

 

さらに、問題は外部情報源に関わるものだけではないとされ、GPTZeroは、レポートにはKPMG自身の調査と食い違う内容が含まれると主張している。具体的には、レポートでは初企業のCEOの「55%」がAIを最優先投資先に選んだと記されている一方で、同月に公開された別のKPMGのレポート(2025 CEO Outlook)では、この数値が「71%」になっているという。

 

KPMGはその後、問題のレポート「Total Experience: Redefining Excellence in the Age of Agentic AI」を一部の同社サイトから取り下げ、レポート発行の過程について調査を行っているとFinancial Timesが報じている。

 

数々のコンサルティングファームが何年も前からAIのハルシネーションについて顧客に警告してきた事実を皮肉り、GPTZeroは、KPMGはハルシネーションの「生実演」を提供してくれたのかもしれないとコメントしている。

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