OpenAI、人身売買やサイバー犯罪にAIを利用していたカンボジア拠点のオペレーションを阻止
Ministry of Cyber Affairs – 2 August 2026
OpenAIは脅威阻止に関する新たな報告書において、カンボジアを拠点とする犯罪オペレーションに紐付けられたChatGPTアカウントの組織的ネットワークを無効化したと発表した。
報告書によると、この犯罪組織はカンボジアのバンテイメンチェイ州ポイペト市(またはその周辺地域)で活動していた可能性が極めて高く、投資詐欺やロマンス詐欺、ギャンブル詐欺、法執行機関へのなりすましといった手口を大規模展開していたとされる。ポイペトはオンライン詐欺や人身売買の拠点として、これまで報道などで何度も名前が挙がっていた地域に当たり、この調査は今年初め、WhatsAppからの情報をきっかけに開始されていた。
技術的な観点で特筆すべきは、単一の新しいエクスプロイトが使われたことではなく、活動が多角化していた点にあるという。報告書では組織化されたグループが単一のプレイブックに固執することは稀だと指摘した上で、このネットワークが複数の詐欺活動を同時に実行していたことを明かしている。
AIモデルはインフラへのハッキングに使われたのではなく、ソーシャルエンジニアリングや業務遂行の効率を飛躍的に高めるツールとして活用されていたそうだ。このグループの行動について、OpenAIは以前にも確認したことのあるソーシャルエンジニアリングの3段階パターン「Ping(接触)、Zing(誘い)、Sting(詐取)」で分析し、詐欺行為だけでなく、人身売買や強制的な犯罪行為への関与を示唆するコンテンツも特定している。
この犯罪ネットワークはオンラインでの勧誘・対話を担当する「チャッター職」をソーシャルメディア上で募集し、航空券、宿泊施設、食事、ビザ、労働許可証を提供すると謳っていた模様。内部的には従業員の借金、給与からの天引き、懲戒罰金、ローン返済などの記録が管理されていたほか、在留資格、労働許可証、ビザのオーバーステイ、採用インセンティブに関するやり取りも行われていたとされる。
また、人身売買の被害に遭い、詐欺組織での労働を強制された人々について、拘束や脱走の試みのほか、刑事責任の可能性に言及する会話も見られたとのこと。OpenAIは個々の状況を独自に断定することはできないとしつつも、こうした活動は東南アジアの組織犯罪グループが「正規の雇用」を約束して労働者を集め、借金による拘束や強要によって逃げられない状態に陥れるという、広く報じられている手口に合致していると指摘した。
金銭的被害の全容は不明だが、詐欺グループ自身のやり取りに基づくと、この活動は数百もの標的と接触していた可能性があるそう。個々の被害者が数千ドルを失ったとする言及もあるようだが、OpenAIはこれらの主張を独自に裏付けることはできないとしている。
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