大規模npmサプライチェーン攻撃「ChainDrop」が襲来、数百件のパッケージが感染
BleepingComputer – August 4, 2026
8月4日に新たなサプライチェーンワーム攻撃が発生し、Shai-Huludベースの自己伝播マルウェア「ChainDrop」が、860件超のnpmパッケージを侵害しているという。複数のセキュリティ企業が報告した。
Aikido Securityによると、攻撃者は8月4日、人気キーバリューストレージライブラリkeyvのメンテナのGitHubアカウントを侵害。このアクセスを使って、パッケージファミリー全体に認証情報窃取型ワームChainDropを注入したとされる。このメンテナは、cacheable(月間ダウンロード数2,900万回)、flat-cache(月間ダウンロード数5億6,500万回)、file-entry-cache(月間ダウンロード数5億5,700万回)をはじめ、その他にも広く利用されているいくつかのキャッシュユーティリティを管理しており、これらすべてが同じ攻撃の被害に遭ったという。
攻撃者は、こうしたプロジェクトのメインブランチへ直接悪意あるファイルをプッシュし、その後新たなパッケージリリースを生成したとされる。侵害はDeliverooやDeliveroo、OneReach、Picsart、Qlik、ServiceTitanといった大手企業に紐づく多数のパッケージへと迅速に広がったと報告されており、Aikidoは、少なくとも868件のパッケージ(バージョン数は1,381件)が、このワームによって侵害されたと伝えた。
これらのパッケージは、以下2件のファイルにより汚染されていたほか、package.json設定ファイル内に「”preinstall”: “node setup.mjs”」というエントリが追加されていたという。なお、パッケージは正規のGitHub Actionsワークフローを通じてビルト・公開されていたため、侵害されたnpmリリースは有効なprovenance(プロベナンス)情報を含んでいたとされる。
- setup.mjs:ペイロードドロッパー
- Math_Symbol.js:機微情報を盗むためのスクリプト
影響を受けるバージョンのパッケージに対してnpm installを実行すると、インストールが完了する前に自動的にsetup.mjsが実行される。このドロッパーは、公式GitHubリリースからJavaScriptランタイムのBunをダウンロードし、2つ目の悪性ペイロードMath_Symbol.jsを実行。その後、setup.mjsによって一時的なランタイムディレクトリが削除される。
スティーラースクリプトは、侵害された環境から開発者やクラウドの認証情報を収集し、「Shai-Hulud: Here We Go Again」という説明書きのある公開GitHubリポジトリに送付。その後、それらの情報を暗号化するという。同スクリプトは自己拡散機能も備えており、それ以前に侵害されたパッケージを使用したほかのメンテナのパッケージにも、感染を広げることができるとされる。
侵害されたnpmパッケージからはさらに、「math_init.js」というスクリプトも見つかっている。BleepingComputerが観測したこのスクリプトは、感染した開発者のシステムとCI/CDランナーを探索し、さらなるソースコードリポジトリやnpmパッケージへのアクセスに使える認証情報を見つけ出そうとする。
同マルウェアが収集するデータのタイプには、以下のようなものがあるという。
- プロセス環境全体
- ローカルの設定ファイルおよび認証情報ファイル
- GitHubのPAT、ワークフロートークン、およびその他のghp_、gho_、ghs_で始まるトークン
- npm_で始まるnpmトークン
- GitHub Actionsのシークレット(セルフホスト型ランナーから「”isSecret”:true」の値を抽出するように設計されたコードを含む)
- AWSの認証情報、「WithDecryption: true」を使用するSSMパラメータストアの値、およびSecrets Managerのシークレット
- アクセス可能なネームスペース内のKubernetesシークレット
- HashiCorp VaultのトークンおよびKVシークレット
- データベースの認証情報、秘密鍵、Stripe・Slack・Twilio・AzureおよびGCPの認証情報
侵害されたnpmパッケージの一覧は、Wiz、StepSecurity、Aikido、Socket、Ox Securityのブログ記事で確認できる。
影響を受けるバージョンがインストールされていた場合、システム管理者は開発ワークステーションまたはCI/CDを侵害されたものとして扱い、安全なバックアップから、またはゼロからシステムを構築し直すことが推奨される。加えて、影響を受けた環境からアクセス可能だったすべてのトークンを更新すること、不正アクセスがなかったかログを確認すること、また予期せぬコミットや変更が加えられていないかリポジトリをレビューすることも求められる。
また、攻撃はまだ進行中であり、感染パッケージや悪性バージョンの数は今後増えていくことが予想されるため、依存関係の許可リストを使い、整合性チェックやprovenanceの管理を引き続き実施することが重要になるとのこと。
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